学短信 -Nr.2- (2003.11.24)

(撮影:糸井さん)

11月某日
 ずいぶん日が短くなった。講義が終り、外に出る頃には既に真っ暗。
 帰りのバスはマフラーなどをぐるぐる巻いた学生でいつも混んでいる。レーゲンス ブルクのバスの座席は二人掛けが基本なのだが、奥の席(窓際)に座っている方が先 に降りたいときには、きまって「よいですか?」とにっこり笑って声をかける。はじ めはとまどったけれども、今ではだいぶ慣れて、自分も「にっこり」が出来るように なった。
 今日もにっこり笑って、途中のバス停で下車。本屋に寄って帰る。

11月某日
 スーパーにて、みかん発見。正式には「クレメンティーナ」といってスペイン産の 柑橘類なのだが、大きさも味も、皮をむいてそのまま食べられるところも、まさに 「みかん」そのもの。10個ほど買って1ユーロもしない(約百円)という値段も魅 力。寒い夜長も、これがあれば大丈夫だ。
 パン屋にて「Vitalsemmel(全穀小型パン)をください」と言ったら、お店の人に 「発音が違う」と指導される。

11月某日
 日本語の授業をとっているドイツ人との勉強会の日。「勉強会」といっても、お互 いの宿題を教えあったり、会話の練習をしたりといった感じで、かしこまったもので はない。彼はもう学生ではないのだが、仕事で東京に行く機会が多いため、日本語の 授業だけ大学で受講しているのだという。ドイツ料理は大丈夫かと聞くので「美味し いと思う」と答えたところ、信じられないといった表情をする。そういう彼は「そう めん」が大好物で、東京に行くたびに「つゆ」を買い込んでくるらしい。おまけに、 必ずワサビも添えるという凝りよう。来週にも日本に行くらしく、何か必要だったら 買ってくるよと言ってくれるが、咄嗟に思いつかず。ほんとうは豆腐か納豆がほしい が、さすがに難しいだろう。

11月某日 
 今日も霧。最近はずっと霧。大聖堂の尖塔も霧に隠れて見えない。

11月某日  ゼミ。時間中ずっと集中してなければ理解できないため、終わる頃にはいつもぐっ たり。夜、ドイツの夢を見る。ただし、ドイツの人びとも皆日本語を話している。そ の国の言葉で夢を見るようになったら語学修得が近づいていると言うけれども、こん な中途半端な夢を見ているからには、まだまだかもしれない。


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