学短信 -Nr.11- (2004.2.18)

ヴァイツェンとソーセージ(撮影:糸井さん)

2月某日
 冬学期も終わり。あっという間の半年だった。
 この時期、留学期間を終えて自分の国へ帰ってゆく学生の送別会がいろいろな場所 で行われるのだが、そうしたパーティーのひとつに参加させてもらう。帰国するのは 韓国から来ていた女性である。集まったのは、同じ韓国人の友人、同じクラスだった というイギリス人の友人、他に、彼女が所属していた合唱団のメンバーなど総勢12 名。この日、食卓に並んだのは韓国料理、日本人の友人たちと作っていった混ぜ寿 司、それに「インターナショナル」である野菜サラダ。料理を食べながら、共通の思 い出話がどんどん出てくる。「ドイツの街の中でどこが一番気に入ったか」という質 問に、しばらく考えて「ニュルンベルク」。その途端、皆に「レーゲンスブルクじゃ ないのか」と言われ、慌てて、レーゲンスブルクはもちろん別格と笑っていた。
 彼女は昨年春から一年間レーゲンスブルクに留学していた。「夏、冬の二学期間で はあまりに短すぎる」。同感である。もう一度、ゆっくりと四季を繰り返すことがで きたら、どんなによいだろう。
 デザートも食べ終わった頃、合唱団の仲間たちが立ち上がって、彼女に送る歌をう たう。彼女は、聞きながら、きっとまたここに戻ってくるといって、涙ぐみながら 笑っていた。

2月某日
 モンクマイヤー氏のところに孫のフレデリックが遊びに来たということで、バイエ ルンの森へ橇滑りに行く。2歳のフレデリックにとっては初めての橇滑り。怖がっ て、なかなか乗ろうとしなかったのだが、一度滑り降りてしまうと楽しくなったらし く、最後には「もっと速く!」と急かしていた。
 スキー場のそばの食堂で昼食。窓からは雪に覆われた遠くの山並みがよく見える。 店内に、ひとりでやってきてビールを飲んでいる男性がいたのだが、モンクマイヤー 氏いわく「あれが典型的なバイエルン男」。背はあまり高くなく、がっちりとして、 しばしば口ひげをはやし、口数は多くないが誰かと話すのは好き、そしてこよなく ビールを愛する。
 フレデリックは2歳の誕生日に、バイエルンの民族衣装であるレーダーホーゼンを プレゼントされたという。彼もやがては、立派なバイエルン男になって、「何はとも あれビール」と言うようになるのか。

2月某日
 日本からやって来る友人を迎えにミュンヘン空港へ。レーゲンスブルクからは、フ ライジングという街で電車を降り、バスに乗り換えて向かったほうが近い。空港で無 事に出迎え、再びフライジング駅から電車に乗ろうとしたそのとき、何とパッサウの クリスティアンにばったり。彼がフライジングの大学で勉強しているのは知っていた が、まさかここで偶然会うとは。「何でここにいるのか」と向こうもびっくりしてい たが、それはそうだろう。ドイツも狭い。
 花屋に水仙が並ぶ。駅裏のショッピング街にはパンジー。春への準備が始まってい る。


もどる